■マトリックポテンシャルとは?
土壌の湿度を測定するには、土壌含水率(Soil Water Content SWC)と 土壌水ポテンシャル(ΨS)の2つの方法があります。土壌含水率とは一定の容積の土壌に含まれる水の量とオーブンで乾燥した土壌の重量との比率で表します。極微な量の水を可逆的に等温的に移動するために要する純水1単位あたりの仕事量をメートルポテンシャル(Ψm)で定義します。もし容積が特定された量であれば、ポテンシャルは圧力(パスカル)で表されます。マトリックポテンシャル(=吸引、毛管現象の複合効果による表面張力や土壌マトリックス内の吸引力 )は土壌水ポテンシャルの主要構成要素です、脱塩素水では全土壌水ポテンシャル(ΨS)はマトリックポテンシャルと同等です。
■なぜマトリックポテンシャルが必要なのか?
植物水関連の研究では土壌水の利用性(土壌の乾燥度)情報が必要です。
土壌の利用力は土壌含水率(SWC)ではなく土壌水ポテンシャル(ΨS)で表されます。
しかしながら両者はパラメーターで関係しています。
土壌水分利用性=水ポテンシャル=f(含水率、土壌特性)
土壌水分利用性は含水量と土壌特性の関数である水ポテンシャルとして正確に表されます。
水分利用性は必ずしも含水率だけに由来するものではなく、ある植物が含水率10%の砂地では盛んに生育しても、同じ含水率の粘土ではしおれて枯れることがあります。
たとえ含水率と土壌特性両方のデータがあっても、水ポテンシャルを導き出すことは簡単ではなく、実際の土壌水ポテンシャルを測定する必要があります。使いやすいポータブル測定器が少ないために、土壌-水分−植物関係の研究に含水率測定が利用されてきました。このような含水率に関する研究の欠点は、結果の再現性に欠けることや異なった土壌での比較ができないことでした。これまでに農業用の灌水量の閾値を決めたり植物-水関係に関する研究や役に立つ文献もありますが、各植物の要求をあ充たす最適土壌水分はいくらなのか?という質問には誰も答えられません。地球規模で考えてもこれは膨大な水資源のロスにつながります。この問題は研究活動や水資源管理において土壌水分の代わりに土壌水ポテンシャルを利用することで解決します。
■作動原理
平衡テンシオメータは水分センサーと平衡体の2つの部分で構成されています。
含水率センサーは平衡体に永続的に取り付けられ同時に平衡体での含水率を決定します。
平衡体は一定の土壌水分傾向を持っています。測定中は平衡体は周りの土壌のマトリックポテンシャルを取得し、この値は水分センサーに記録されマトリックポテンシャルに変換されます。
1907年(E.buckinham)以来、植物の土壌水分利用性を表す概念として水ポテンシャル(Ψ)が知られています。科学者やエンジニアたちた水ポテンシャル測定が重要なことを以前から認識しており、土壌水分ポテンシャル(Ψs)を直接測ることのできる装置が1世紀にわたり、いくつか開発されました。現在テンシオメーター、抵抗ブロック(gypsum block, watermark)とサイクロメーターの3種類の技術だけが実用化されています。しかしこの3つの技術は測定範囲、精度およびコストの点で実用上限界があります。
野外条件下での土壌水ポテンシャルの正確なモニタリングは科学者の課題とされています。 |